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助産師が不妊治療を経験してわかったこと

子宮内膜症のため手術→不妊治療開始→体外受精で妊娠・出産した助産師の記録

母乳育児に関するトンデモ情報

妊娠経過

 

 先週末、ついに臨月、36週を迎えました。

 妊娠・出産はいつ何が起きるかわからないものであり、妊娠発覚時からありとあらゆる最悪の状態を想定して過ごしてきただけに、ここまでなんとか辿り着けて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 36週を迎えた日はちょうど健診で、主治医から「赤ちゃんの体重もあるし、あと1週間で正期産だけど、もし36週で生まれても大丈夫でしょう」と言われ、とてもホッとしました。

 

 トンデモ情報にがっかり

   その健診日には、助産師による最後の保健指導がありました。

 主に、おしるし・陣痛・破水時の対応、入院のタイミング、母乳育児に向けた乳房チェック、乳頭・乳輪部のマッサージについて等です。

 私自身が助産師ということもあり、大分さらっとした保健指導で、あとは入院中も使うというパンフレットを「読んでおいてくださいね」と渡されました。

 そして、待ち時間にパンフレットを読んでみて、ちょっとがっかりというか、げんなり。

 パンフレットには、入院中のスケジュールや授乳の仕方、おむつの替え方、沐浴方法、退院後にこんな症状があれば受診をといった注意書きなどが掲載されていたのですが、母乳育児に関して誤った情報も記載されていたのです。

 いちばん引っかかったのは、母乳育児を続けるコツとして『母の食事も注意しましょう。甘いもの、油ものは控えましょう』という注意がなされていたことでした。

 たぶん、これは母親の食事が乳汁の質に影響する(どろどろになる)とか乳腺炎の原因になるということを意図して書かれたのではと思いますが、母親の食事が母乳を美味しくする、まずくするといった事実はなく、さらに、乳腺炎は食事が原因で起こるわけではありません。乳腺炎は、作られる乳汁の量と出ていく乳汁の量のバランスが崩れた時に起こります。

 こういった、母乳育児に関して未だに誤った情報提供をする助産師は少なくなく、医療従事者に指導されればそうかと信じる母親たちはたくさんいます。その結果、産後の慣れない育児で混乱している時に、間違った情報に振り回され、追い詰められるのは母親です。

 なので、追い詰められる母親たちが気の毒で、どうしたらこのようなトンデモ情報をなくせるのだろうと悶々と悩む羽目になりました。

  ちなみに、妊娠中の乳頭・乳輪部のマッサージは、皮膚を柔らかくし亀裂の予防になるとか乳汁分泌をスムーズにするとか言われていますが、これも根拠はないです。でも、こういう指導はまだ多くのところで行われており、一般的にも広まっている知識だと思います。

 

 なにがなんでも母乳育児じゃないとダメなのか

  母乳育児は誤った情報提供や価値観の押しつけがされやすい分野だと思います。

 「母親なんだから頑張って母乳をあげるべき」とか「母乳こそ母の愛」だとか・・・。

 そんな私も助産師になりたての10数年前は、母乳育児推進一辺倒の病院で働いたことも影響して、「母乳育児は素晴らしい」「完全母乳育児を確立してほしい」という私の勝手な一心で母親に接していたので、その時に関わったお母さんたちには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 「母乳をあげたい」と思う母親は多いでしょうが、産後ただでさえ出産によりぼろぼろになった身体で自分のこともままならないのに、昼夜問わず起き上がって授乳しなければならないのは、かなりの負担です。しかも、母乳は出産後すぐからじゃんじゃん出るわけではないですし、個人差があるので、泣く赤ちゃんに対して「母乳が出なくてごめんね」「ママが下手でごめんね」と落ち込むという・・・。こんな落ち込みは不要です。

 そういう時、「お母さんが頑張らないと」と母親に努力だけを求めるのではなく、出産直後から母親が身体を休めつつ適切に授乳できるよう助産師がサポートできたら、母親の負担も大分軽くなると思います。

 私自身は、できれば母乳育児ができたらいいなぁと思っています。

 それは、手間もかからないし経済的だから、くらいの理由です。

 でも、母乳にこだわるあまり、赤ちゃんが低血糖や脱水、必要以上の体重減少を起こして成長・発達に悪影響を及ぼしたり、私自身が健康を損なうような状態になったりするのは避けたいと考えています。

 もし万が一、赤ちゃんや自分がギリギリの状態なのに、助産師等のスタッフから「もっと頑張れるのでは」「もっと頻繁に母乳をあげてみましょう」等と私の頑張りだけで何とかすることを求められたら、その時にははっきり「NO」と伝え、ミルクの力も借りながら育児するつもりです。

 母乳の利点は理解していますが、いちばん大切なのは赤ちゃんが健康に育つことですから。

 

 母乳育児に関してはまだまだ思うことはありますが、長くなるのでここで一旦終わりにします。

 最後に、母乳育児を含め育児に関して科学的根拠に基づいた情報提供をしている本をご紹介いたします。

www.kinokuniya.co.jp

www.kinokuniya.co.jp

 産後はとにかくバタバタしますし、頭も思うように働かないものです。

 可能であれば、育児に関する情報は産前の余裕がある時に得ておくことをお勧めします。