助産師が不妊治療を経験してわかったこと

子宮内膜症のため手術→不妊治療開始→体外受精で妊娠・出産した助産師の記録

いよいよ出産 -出産レポート④-

 出産レポートの続きです。

 

猛烈な睡魔と激しい痛み

 さて、念願の分娩室へ移動した私。

 基本的には、状況によるものの、初産婦なら子宮口全開大で分娩室へ移動です。

 しかし、まだ全開大ではなかったため、分娩は先と判断したであろう助産師さんは分娩室を出て行ってしまい、私は分娩台の背もたれを起こしてもらい、そこにしがみつくような体勢で陣痛をやり過ごしました。夫は私の希望によりものすごい力で、腰のマッサージをしてくれていました。

 分娩室には夫と私の二人のみ。

 チッチッチッと進む時計の針の音が異様に大きく聞こえました。

 その時の陣痛は2分おきで、本当に痛かったです。陣痛と陣痛の間はものすごい睡魔が襲ってきてウトウトするのですが、陣痛がやってきた途端に地獄に落とされるような苦しみでした。同時に、陣痛の度に胎児が猛スピードで降りてきている感覚があり、自然といきみが入っていました。

 それをしばらく繰り返した後、主治医と助産師さんが現れ、子宮口の全開大を確認。

 というか、主治医がまたもや刺激で全開大にしたようでした。

 この時はとても痛いながらもどこか冷静で、「助産師さんがまだ手洗いしていないっぽいし、ガウンを着ていないからお産はまだだな」とか「分娩のセットをまだ開けていないからまだか」とか、周りの状況を見ながら自分の分娩進行状況を判断していました。

 

待ちに待った我が子との対面

 そして、ついに、分娩の体勢をとることに。

 しかし、それまでは背もたれにしがみつくことができたのに、急に仰臥位でいきめと言われてもどこに力を込めたらいいんだ、こんな格好で力なんて入らないと思い、とうとう弱音を吐きました。

 「私、仰向けで産めるのかな・・・」「もう、吸引でも鉗子でもいいです・・・」

 フリースタイル出産が頭をよぎりましたが、出産した病院ではやっていず、一瞬ものすごく後悔。

 そんな私に主治医も助産師さんも「大丈夫大丈夫」「(吸引と鉗子分娩の)適応がないから、自力で頑張れ」と言うばかりで、私も覚悟を決めて最後の力を振り絞ることにしました。

 とにかく、陣痛が来たら深呼吸を繰り返して呼吸を整え、ピーク時にしっかりいきむ、いきむ時には足をちゃんと開いて目はお臍を見る感じ、と自分が助産師をしていて介助していた時に声掛けをしていた内容を心掛け、必死に頑張りました。

 途中、骨盤の一番狭いところに赤ちゃんの頭がはまったであろう時に心音が下がり、酸素マスクも装着されました。

 どのくらいそのいきみを繰り返したかわかりませんが、無心になって必死に頑張った結果、まだだろうと思っていたのに、赤ちゃんの頭が挟まっている感覚が。助産師さんに「触ってみる?」と聞かれ、思わず手を伸ばすと我が子の頭に触れました。

 そこからは、「あともう2回くらいいきんだら生まれるよ!」という助産師さんの声と、「頑張れ!」と枕元で励ます夫の声を聞きながら、もう無我夢中でした。

 「はい、頭出るよー」という助産師さんの声を聞き、短息呼吸に切り替えなくちゃと掴んでいたバーから両手を離した瞬間、突然、ずるんと何か出る感覚。

 視線の先には我が子が見えました。

 20時01分、女児誕生。

 その時は、感動よりも先に「ああ、本当にお腹に人間がいたんだ」という気持ちと爽快感でいっぱいに。

 主治医が「今、泣かすからねー」と言うのを聞いて、「あ、まだ泣いてないんだ」と思った時、「うみゃー、うみゃー」と元気な声が聞こえてきました。

 顔は見えなかったけど、枕元に立っていた夫の声は「泣いてるね!」「よく頑張ったねー!」と喜びいっぱいのように聞こえました。

 そうしてようやく、臍の緒がつながったままの我が子と対面。

 頭を撫でながら、「よく産まれてきてくれたね。ありがとう!」と言ったと思います。

 これまでの人生で味わったことのない喜びを感じました。

 ものすごくうれしい対面でした。

 事前に主治医に「余裕があれば、私が臍の緒を切りたいです」と伝えており、臍の緒は私が切らせてもらいました。

 その後、処置の為に娘は別室へ。

 体重は2778gと知らされ、低体重じゃなかったとホッとしたのもつかの間、胎盤が出た時点で私の出血が800mlとかなり多いという状況に陥りました。