産後の大出血 -出産レポート⑤-
出産レポートの続きです。
出血が止まらない
胎盤娩出までの出血量が800mlだと聞いた私は、この感じだと分娩後2時間までの間にトータルで1000mlくらいは出血するかなと予測していました。
分娩後2時間までの出血量は500ml以内が正常範囲です。
分娩当日の朝採血した結果ヘモグロビン値が8.0g/dlで貧血だったので、この大量出血は予測できたことではありました。
出産前最後の健診のヘモグロビン値は11.0g/dlだったのに、1週間余りで値がかなり低下していました。
出血が多かったので、点滴がもろもろ追加されました。あとは、スポーツドリンク等で水分補給をこまめにおこないました。
そして、尿管も入れてもらいました。嫌だったけど、安静にしなくてはいけないし、膀胱が充満すると子宮の収縮が悪くなるので仕方ありません。
血圧もこまめにチェックしてもらいましたが、血圧は異常なし。
私も産後で興奮していて、処置を終えて戻ってきた娘に授乳したり、夫と話したり、胎盤を見せてもらったり、意識ははっきりしていました。
ところが、分娩後1時間の時点で総出血量がすでに1,000mlを超えており、出血が止まる気配がないということで、急遽当直医の診察を受けることになりました。
結局、胎盤娩出の際に、胎児を包んでいた卵膜の一部が子宮内に残ってしまっていることがわかり、それを掻き出す処置がなされました。
これがまた、痛かった・・・(泣)。
せっかく陣痛から解放されたのに、また新たに別の種類の痛みを味わわなくてはいけなくて、できることなら麻酔してほしいと思ったけれど、麻酔するほどでもない処置でもあり・・・。
ただ、この処置が功を奏し、出血はみるみる減りました。
とはいっても、結果的には分娩後2時間までの総出血量は1400mlを超えました。
本来は分娩後2時間まで分娩室で様子を見て、問題なければ病室に戻るのですが、私の場合は念のため、分娩後4時間近くを分娩室で過ごしました。
分娩台は硬いので、背中や腰が痛くてがちがちに。
ようやく病室へ戻る許可が出され、起き上がって車いすへ移動をする時には身体が思うように動かなくて、自分の身体じゃないみたいでした。
病室に戻ったのは、日付が変わった0時過ぎ。
娘は出生後体温が低くなってしまったため新生児室で預かりとなり、ゆっくり休むようにと言われましたが、興奮して全然眠れませんでした。
そして、預かってもらったとはいっても夜中も3時間毎に連れてこられる娘の授乳は早速始まり、貧血でふらふらの身体で(分娩翌日のヘモグロビン値は6.0g/dl!)怒涛のような産後がスタートしました。
全ての妊婦さんが無事に出産できますように
以上で出産レポートは終了です。
初産だし、出産は分娩予定日近辺だろうなーとのんびり構えていた私の予測を裏切り、もう少しで早産になるところだった出産。
また、1400mlを超える出血量を思うと、万全の医療体制整っている総合病院で出産し命を救ってもらったことは本当によかったと思います。
何にでも言えることですが、妊娠・出産には「絶対大丈夫」「私には(異常は)起こらない」ということがありませんし、何か起きた時の後悔は計り知れません。
助産師として様々なケースに遭遇してきたからこそ、今回、母子ともに命が無事だったことは何事にもかえられない、かけがえのないことでした。
どうか、今現在妊娠している方々の妊娠経過が順調でありますように。
また、もうすぐお産を迎える方々が母子ともに健康で出産できますように。
そう願わずにはいられません。