助産師が不妊治療を経験してわかったこと

子宮内膜症のため手術→不妊治療開始→体外受精で妊娠・出産した助産師の記録

まさかの破水 -出産レポート①-

 出産からあっという間に1ヶ月半経ちました。

 慣れない生活に追われてまとまった時間が取れず、ブログ更新が滞っていましたが、忘れないうちに出産時のことをまとめておこうと思います。

 入院してから出産まで3日かかったので、長くなるかもしれませんが・・・。

 

破水からのスタート

   私の出産は6月22日、破水から始まりました。

 しかも、まさかの36週5日という、正期産に入る前の出来事。

 夜中の3時45分、目が覚めると同時にプチッと弾ける感覚に驚いてトイレに駆け込んだところ、もうそれは明らかな破水でした。

 夫を起こし、病院に電話と思いながら、その日の日中に美容院に行く予定だった私は、このまま出産になることを考えて、まず自分で伸びていた前髪をカット。

 で、破水していたら感染のリスクが高まるため、シャワー、入浴共にダメと言われていたのですが、おそらく出産まで日数がかかるだろうことを考えて、さーっとシャワーを浴びることに!(自己責任です)

 そして、病院に電話し、病院に向かいました。

 この時は冷静ではあったものの、ここまで頑張ったのに10ヶ月とはいえ早産かーとちょっとがっかりした気持ちでした。

 

入院1日目:促進剤開始

    病院では、救急外来で受付を済ませた後、病棟に案内されました。

 そして、陣痛室へ入院したのは朝6時。

 ちょうど分娩が重なっていたようで、なかなかスタッフは来ず、夫とぼんやりと時間を過ごしました。

 しばらくしてから助産師の診察があり、どうせ子宮口なんて大して開いていないだろうし所見は悪いだろうと思っていたら、案の定「全然届きません・・・」と言われ、ますますがっかり。

 出産までの道のりが果てしなく遠く感じられました。

 まあでも、陣痛も来ていないし、このまま日数が稼げて正期産で出産できればいいかな、でもそこまでは持たせないだろうから翌日には促進剤を打って出産に持っていくかな等と色々考えていたら、主治医から「今日から促進する」と説明が。

 入院時に助産師が診察した結果をみると子宮口が熟化していないので、まずその日は熟化目的で促進剤を使用、翌日は本格的に促進剤を使用して出産しましょう、とのことでした。

 そんな状況だったので、その日の出産は限りなく可能性が低く、夫には会社に行ってもらうことにし、一人で陣痛室で過ごすことになりました。

 その後、病棟医の診察があり、再度所見を診てもらったところ、子宮口は2cm開大していましたが、そのほかの所見が全然イマイチ。

 早速、午前9時過ぎから促進剤が開始されました。

 同時にずっと胎児心拍と陣痛をみるモニターが装着され、点滴も繋がっているので、自由に身動きがとれないのが辛かったです。トイレに行く時にはモニターをはずしてもらわなければならないので、いちいちナースコールするしかありません。助産師をしていた私は変に気を遣ってしまって、自分のタイミングでトイレに行くことができませんでした。というわけで、スタッフが別件で部屋に来た時に、「トイレに行きたいです・・・」と言っていました。促進剤の点滴の流量が増えるとトイレも近くなり、大変でした。

 促進剤がじんわり効いてきたのは、お昼前くらい。

 それも軽い生理痛くらいで、まだまだ痛みの最中も余裕で話せるレベル。昼食も全量摂取でき、促進剤の流量を上げにくる助産師に「痛みはどうですか?」と聞かれても、「まだまだ余裕です。こんなもんじゃないですよねー」と返せるくらいでした。というか、仕事でさんざん見てきているだけに、「こんなもんじゃないはず」という思いが強すぎて、だんだん我慢大会みたくなっていたかもしれません。

 モニターの陣痛計をチェックする助産師には、「結構痛くないですか?我慢強いですね」と言われてしまいましたが、そこまで痛くはなかったし、ここで悶絶していたらこの先持たないと思っていました。

 とはいえ、12時半過ぎには、だんだんと痛みの最中はふーっとゆっくり息を吐かないとならないくらいの状況になってきました。うまく伝わるかわかりませんが、足のつま先まで力が入るくらいの痛みです。

 でも、15時に配られたおやうは食べられたので、「これが食べられるということはまだまだだな」と思っていました。

 そして、その日は促進剤を2本打ったところで、促進剤は終了。

 2cmだった子宮口は3㎝まで開きましたが、その他の所見は殆ど変わらず、翌日また仕切り直すことになりました。

生まれました!

入院してから2日後、37週0日に2778㌘の女児を出産しました!

出産直後は、爽快感と「本当にお腹に人間がいたんだ!」という気持ちでいっぱいに!
初めて対面した時は、これまでの色んなことを思い出して涙が溢れました。

詳しい出産レポートは後日改めて致します。

36週5日:前期破水で入院!

今日の夜中、破水して入院になりました。
本音をいえば、あと2日で正期産だったのでそこまで持ってほしかったですが、ここまでこられたので良しとします。

今は促進剤をしていますが、この感じだと早くて明日かな?
無事に生まれたらまた更新します!

母乳育児に関するトンデモ情報

 

 先週末、ついに臨月、36週を迎えました。

 妊娠・出産はいつ何が起きるかわからないものであり、妊娠発覚時からありとあらゆる最悪の状態を想定して過ごしてきただけに、ここまでなんとか辿り着けて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 36週を迎えた日はちょうど健診で、主治医から「赤ちゃんの体重もあるし、あと1週間で正期産だけど、もし36週で生まれても大丈夫でしょう」と言われ、とてもホッとしました。

 

 トンデモ情報にがっかり

   その健診日には、助産師による最後の保健指導がありました。

 主に、おしるし・陣痛・破水時の対応、入院のタイミング、母乳育児に向けた乳房チェック、乳頭・乳輪部のマッサージについて等です。

 私自身が助産師ということもあり、大分さらっとした保健指導で、あとは入院中も使うというパンフレットを「読んでおいてくださいね」と渡されました。

 そして、待ち時間にパンフレットを読んでみて、ちょっとがっかりというか、げんなり。

 パンフレットには、入院中のスケジュールや授乳の仕方、おむつの替え方、沐浴方法、退院後にこんな症状があれば受診をといった注意書きなどが掲載されていたのですが、母乳育児に関して誤った情報も記載されていたのです。

 いちばん引っかかったのは、母乳育児を続けるコツとして『母の食事も注意しましょう。甘いもの、油ものは控えましょう』という注意がなされていたことでした。

 たぶん、これは母親の食事が乳汁の質に影響する(どろどろになる)とか乳腺炎の原因になるということを意図して書かれたのではと思いますが、母親の食事が母乳を美味しくする、まずくするといった事実はなく、さらに、乳腺炎は食事が原因で起こるわけではありません。乳腺炎は、作られる乳汁の量と出ていく乳汁の量のバランスが崩れた時に起こります。

 こういった、母乳育児に関して未だに誤った情報提供をする助産師は少なくなく、医療従事者に指導されればそうかと信じる母親たちはたくさんいます。その結果、産後の慣れない育児で混乱している時に、間違った情報に振り回され、追い詰められるのは母親です。

 なので、追い詰められる母親たちが気の毒で、どうしたらこのようなトンデモ情報をなくせるのだろうと悶々と悩む羽目になりました。

  ちなみに、妊娠中の乳頭・乳輪部のマッサージは、皮膚を柔らかくし亀裂の予防になるとか乳汁分泌をスムーズにするとか言われていますが、これも根拠はないです。でも、こういう指導はまだ多くのところで行われており、一般的にも広まっている知識だと思います。

 

 なにがなんでも母乳育児じゃないとダメなのか

  母乳育児は誤った情報提供や価値観の押しつけがされやすい分野だと思います。

 「母親なんだから頑張って母乳をあげるべき」とか「母乳こそ母の愛」だとか・・・。

 そんな私も助産師になりたての10数年前は、母乳育児推進一辺倒の病院で働いたことも影響して、「母乳育児は素晴らしい」「完全母乳育児を確立してほしい」という私の勝手な一心で母親に接していたので、その時に関わったお母さんたちには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 「母乳をあげたい」と思う母親は多いでしょうが、産後ただでさえ出産によりぼろぼろになった身体で自分のこともままならないのに、昼夜問わず起き上がって授乳しなければならないのは、かなりの負担です。しかも、母乳は出産後すぐからじゃんじゃん出るわけではないですし、個人差があるので、泣く赤ちゃんに対して「母乳が出なくてごめんね」「ママが下手でごめんね」と落ち込むという・・・。こんな落ち込みは不要です。

 そういう時、「お母さんが頑張らないと」と母親に努力だけを求めるのではなく、出産直後から母親が身体を休めつつ適切に授乳できるよう助産師がサポートできたら、母親の負担も大分軽くなると思います。

 私自身は、できれば母乳育児ができたらいいなぁと思っています。

 それは、手間もかからないし経済的だから、くらいの理由です。

 でも、母乳にこだわるあまり、赤ちゃんが低血糖や脱水、必要以上の体重減少を起こして成長・発達に悪影響を及ぼしたり、私自身が健康を損なうような状態になったりするのは避けたいと考えています。

 もし万が一、赤ちゃんや自分がギリギリの状態なのに、助産師等のスタッフから「もっと頑張れるのでは」「もっと頻繁に母乳をあげてみましょう」等と私の頑張りだけで何とかすることを求められたら、その時にははっきり「NO」と伝え、ミルクの力も借りながら育児するつもりです。

 母乳の利点は理解していますが、いちばん大切なのは赤ちゃんが健康に育つことですから。

 

 母乳育児に関してはまだまだ思うことはありますが、長くなるのでここで一旦終わりにします。

 最後に、母乳育児を含め育児に関して科学的根拠に基づいた情報提供をしている本をご紹介いたします。

www.kinokuniya.co.jp

www.kinokuniya.co.jp

 産後はとにかくバタバタしますし、頭も思うように働かないものです。

 可能であれば、育児に関する情報は産前の余裕がある時に得ておくことをお勧めします。

 

睡眠パターンの変化

 産休に入って10日あまりが過ぎました。

 正期産に入る37週まではあと10日。

 出産予定日まではちょうど30日。

 少しずつ出産の日が近づいてきています。

 産休に入る前までは、1日中家にいるなんて無理だと思っていたのですが、梅雨に入ったので雨の日は出かけるのが億劫になり、お天気がいいと今がチャンスとばかりに洗濯や掃除に励むので、今のところ暇を持て余さずに過ごせています。

 自由に時間が使えるのは今だけだし、大変であろう産後のことを考えると、家事に力が入ります。そろそろ、常備菜を作って冷凍などもしておかなければ。

 

 妊娠後期に入ってから、夜間まとめて眠ることができなくなってきました。

 たっぷり眠るのが大好きな私は、平日は大体22時半頃に就寝、起床は6時頃です。

 妊娠後期までは夜間に目が覚めても1回くらいだったのに、今は就寝後、0~3時くらいまで大体1~1時間半置きに目覚め、その後は3時間くらいまとめて眠れる時とそうでない時があります。

 大体目が覚める時は、尿意がある時、胎動が激しい時、寝ている体勢が辛くなってきた時です。

 寝る前の水分は控えていますが、増大した子宮や胎児の影響で膀胱が圧迫されているためトイレがものすごく近いです。

 で、トイレに起きて、さあ眠ろうと横になった時に、元気にドンドコ動き出すお腹の子ども・・・。

 横向きで眠ることが多いので、下になった方をガンガン蹴られると、「この体勢が嫌なのかしら」とまた向きを変える羽目に。寝付くのにも時間がかかります。

 

 また、休日は寝だめするのが習慣で、いくらでも眠れたのに、今はすっきり目が覚めて(というか、眠っていられなくなって)6時か7時には起きます。

 ただその分、平日も休日も日中に強烈な眠気に襲われることが多くなり、家事がひと段落した午前中に30分くらい寝ることも。

 最初はこの変化に戸惑いましたが、どうせ産後は夜間まとめて眠ることは不可能だし、日中疲れたら赤ちゃんが寝たタイミングで自分も寝ればいいやと思い、その予行練習と思って現状を受け入れています。

 こればかりは悩んでも仕方ないですし、自分が慣れるしかありませんもんね。

 出産に向けて体調を崩さないように気をつけながら、残り少ない妊婦生活を毎日楽しんで過ごそうと思います。

産休に入りました

 先週末、34週0日で仕事を終了し、産休に入りました。

 なんとか産休まで働き続けられたのは本当に奇跡でした。

 妊娠がわかってから、仕事のことでまず不安に感じたのは、「最後まで(産休まで)無事に働けるかしら」ということ。

 立ち仕事なので、切迫流早産を起こし仕事は途中で休まざるを得ないのではと心配していました。

 特にお腹の張りが辛かった妊娠中期は、ヒヤヒヤしながら仕事をする毎日。

 あまりにもお腹が張った時には少しだけ座らせてもらったりしましたが、患者さんが多くて忙しい時などは自分の体調に合わせて休憩をとることが難しかったです。

 

 今回、自分がいざ妊婦になってわかったことは、妊娠しながら働くのは考えていたよりもハードルが高いということ。

 私が今まで働いてきた環境は女性が多く、同僚に妊婦がいるのは普通だったので、妊娠していない人と比べて身体のしんどさはあっても、元気であれば働けるものだと思っていました。

 もちろん、妊娠している同僚に対しては、患者さんの移動や重たいものを持つ業務などから外れ、座ってできる業務などを多くするように配慮していましたが、妊婦が働くことの大変さを本当の意味で理解できていませんでした。

 というのも、妊婦はありえないくらい突然体調を崩すものですし、それが自分でも予測がつかないことが多く、体調管理を心掛けていてもコントロールが効かないものなのです。

 仕事上の責任を全うしたいけれど、それだけのパフォーマンスが今は難しいです、ということが体調のせいで度々起こります。

 また、看護職だと、ケアする立場の自分がまず元気でなくてはいけないというプレッシャーもあります。

 働く妊婦は身体のしんどさに加えて、ピーンと張りつめた変な緊張感を持ち続けて仕事をする状況にあるんだ・・・としみじみ実感しました。

 

 ただ、自分の身は自分で守るしかないし、赤ちゃんも自分が守るしかありません。

 仕事をしていると、どうしても周囲に迷惑をかけないようにと考え、限界を超えそうになっていても自分の辛さを訴えることをためらいがちですが、赤ちゃんと自分に何かあってからでは遅すぎます。

 せっかく授かった命なので、とにかく赤ちゃんと自分のことをまず優先に考えた方がよいと思います。

 何かあって後から後悔するよりも、辛い時には辛いと訴えて休み、また頑張れる時に頑張ればよいと思うのですが、妊婦をとりまく職場環境はなかなか厳しいのが現状ですかね・・・。

病院の出産立ち会い教室に参加しました

 妊娠33週に入りました!

 体調も良く、元気に生活できていますが、目下の悩みはここにきて私の体重増加が1か月半ほど止まっていること・・・。

 妊娠6~7か月頃は恐ろしいほどのペースで体重増加してヒヤヒヤしていたのに、今はしっかり食べても、ほとんど体重が変化しません。

 今のところ、非妊時より6㎏増加。

 私は痩せ型なので、体重増加の許容範囲は+9~12㎏。

 産後の体力維持のためにも、最低でも10㎏の増加は欲しいところです。

 私の体重増加がイマイチでも胎児は週数相当の発育を遂げているので安心していますが、こんなにも自身の体重管理に悩むとは思ってもみませんでした。

 

出産立ち会い教室のプログラム

  先週末、夫と一緒に、病院開催の出産立ち会い教室に参加してきました。

 私が分娩する予定の病院では、夫立ち会いを希望する場合、夫婦揃って出産立ち会い教室に参加することが義務付けられています。

 ちょっと前まではこういうルールが適用されている病院は多かった気がしますが、いまどきは珍しいような。どうなんでしょう?

 私も夫も何が何でも立ち会い出産を希望しているわけではないものの、いざ出産の時に夫が立ち会いたくなった場合は立ち会えるようにと、教室へ参加することにしました。

 当日のプログラムは、

 ①夫による自己紹介

 ②夫立ち会い出産の注意点の説明

 ③分娩経過の説明

 ④ビデオ上映

 ⑤呼吸法と補助動作の説明と実技

 ⑥病棟見学

でした。

 時間はトータルで2時間ほど。

 約10組の参加がありました。

 

古いビデオなのに思わず感動

  私にとっては新鮮に感じる内容はありませんでしたが、夫はわりと真剣に聞いていました。でも、どちらかというと、夫も私が助産師という安心感があるのか、他のご主人に比べてメモをとったりとかはなかったような・・・(笑)。マッサージの練習は一生懸命やっていました。

 唯一、プログラムで心配だったのが、ビデオ上映。

   上映されたビデオは、私が助産師学生時代にも観たことがある、約20年以上前にアーニ出版が制作した「ドキュメント 出産」というもの。

    出産シーンのあるビデオだったので(女性の足側から撮影している)、夫にはちょっと衝撃的なのではと気を揉んでいました。

 が、後で聞くと、出産シーンに関しては「まあ、こんなものだよね」と受け止めたのと、赤ちゃんが生まれた瞬間は感動したとのこと。

 私も妊娠してからさらに涙腺ゆるゆるのため、何回か観たことのあるビデオなのに感動して危うく泣くところでした。たぶん、自分の出産の時は、感動どころか放心状態、「やっと痛みから解放されたー!」という感じで、泣くタイミングを失ってしまいそうですが。

 にしても、このビデオ、ラマーズ法全盛期のものなので、現代にそぐわないところが多々あります・・・。もっと現代に合った視覚教材ってないのかなぁ。

 

正期産までもう少し

    最後の病棟見学では、あと1か月~1か月半後にはここで出産するのかと思うと、ちょっと感慨深いものがありました。

 久々に見た、ふわふわの新生児ちゃんもかわいかったです。

 他人の子どもにはあまり興味がないと言っていた夫すら、「小さくてかわいかったー♡」と。

 少しは父親としての自覚が生まれたかな?

 今はとにかく、経膣分娩でも帝王切開でもなんでもよいので、母子ともに無事に出産できればと思っています。